今月のコラム(This month's column)

1JANUARY

2021

今後の省エネルギーと環境問題

 2020 年 9 月末、米小売大手ウォールマートが温室効果ガスの排出用をゼロまで削減す ると約束し、米ワシントンに本部を構えるビジネス・ラウンドテーブルがカーボンブラ イシング(炭素の価格付け)の支持を表明した。
果たしてそうだろうか。そんな変化を確認できるのはほんの一握りの大企業の役員室の 中だけに違いない。
規模の大きくない企業すなわち事業所の約 90%以上を占める中小零細企業には、サスティ ナビリティ(持続可能性)の経営目標を取り入れられないもっともな理由がある。
すなわち SDGs( 持続可能な開発 ) と ESG に関する目標を実行に移すにはお金がかかり、 全社を挙げての実行計画はその内容が複雑だと考えられる。
国連の常連オブザーバーを務めるアンドリュー・ウィルソン氏は、ほぼ 1,000 社が地球 温暖化対策の枠組み「パリ協定」と連動した目標を挙げたが、取引先をこうした目標に 巻き込んだところは非常に少ないと言っている。
 この 1,000 社のサプライチェーンが生み出す炭素排出量は当該企業の約 5.5 倍にもの ぼることが確認されている。
また、比較的規模の小さい企業がサスティナビリティ計画を導入した背景には、米アッ プル、Google といった取引先大企業からの圧力があったとも言われている。
環境及び社会的な目標達成に取り組んでいる大企業の経営者は、自社周辺の業界の上位 企業以外からも支援が得られなければ目標達成ができないと認識する必要がある。
「パリ協定」を達成するには大企業が、そのステークホルダーを巻き込んで取り組む姿勢 こそが最大の問題だと認識すべきだろう。

エナジーデザイン通信

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